ホームセキュリティシステムを採用する場合を除いて、
自主的な管理・心がけに頼るところが多い戸建住宅。
それに比べるとマンションは管理人がいる他、
オートロックシステムの充実など防犯システムが整っていることが多いので
安全だと思われてしまいがちです。
しかし、マンションで発生する犯罪は非常に多く
平成23年度に起きた全侵入窃盗事件の約18%が
マンション内で発生しています。
「管理人がいる」、「オートロックシステムがついている」、「高層階に住んでいる」などが
マンションをついつい安心だと思ってしまう理由です。
こういった理由は本当に安全をもたらしてくれているのでしょうか。
住民の顔や生活スタイルをある程度把握している管理人は、
マンション住民にとってはとても大切な存在です。
実際、不審者を発見したり、マンション全体の治安を維持しようと努力をしてくれたりします。
しかし、24時間体制で管理人がいるマンションは非常に少なく、
朝から夕方までしか勤務していない為、完璧な状態であるとは言えません。
不審者の侵入防止に役立ちます。
しかし、マンションでは住人同士がお互いの顔をあまり知らないことが多いため、
「共連れ(正式に入館できる人と一緒に不審者がマンション内に入ること)」や
「すれ違い(入退室する人とすれ違いに不審者がマンションを出入りすること)」を
防止することが難しいという問題があります。
戸建に比べると高さがある為に泥棒には入られないだろうというイメージが定着していますが、
実際には高層階での泥棒被害も多く発生しています。
「高層階に住んでいるから大丈夫」という保証はどこにもありません。
また、マンションでは見慣れない人がいたとしても
「この人はマンションの住民ではない」と断定することが難しいという特徴があります。
したがって、たとえ不審者がいたとしても違和感を覚えないようになってしまうのです。
マンションはテナントビルなどと同様、不特定多数の人間が出入りをします。
集合玄関から入ってくる人間だけを監視するのであれば問題はないかもしれません。
しかし、不審者は人目につかない場所、
例えば1階住居の玄関前通路、ベランダ、非常階段の出入口などから侵入してきます。
予期せぬ場所から不審者が侵入してくることを避けるためには、
マンションの状況、周囲の環境、領域区分ごと(共用部や入居者専用部など)に考えられる
さまざまな防犯対策を組み合わせて総合的なセキュリティシステムを構築し、
不審者の侵入経路を遮断することが大切です。
「防犯環境設計」という言葉をよく耳にするようになりました。
防犯に良い環境を作ることで犯罪の抑止力を高めて犯罪を未然に防ぐことで
住人の犯罪意識の高揚と不安の除去を行い、快適生活を提案する考え方です。
マンションが安全である為にはセキュリティシステムを効果的に活用すると共に、
マンション内だけでなく、マンションが建っている周辺の地域と一体になって
防犯意識を高めていく努力が必要です。